2011.12.8
確定申告により税額を多く納めすぎていた場合の減額請求の手続を「更正の請求」といいます。改正前はその手続の期限が法定申告期限から1年だったのですが、5年に延長されたのです。具体的には、「平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税」について適用されます。
従来1年を超えていた場合は、法的に救済措置はありませんでした。それでも「嘆願」すること、具体的には「嘆願書」を提出することで、お情けで税金の還付を受けることができる場合があったのです。(このテクニックは知られざるものです。筆者は経験(成功!)があります。筆者の勤務時代に前の担当者がやらかしたのでw)
例えば、個人の平成22年分の確定申告書の法定申告期限は、平成23年3月15日ですから改正前の取り扱いになります。その1年後の平成24年3月15日までは旧「更正の請求」で対処するわけです。改正前の「それ以後は法的に一切認めない」という在り方は乱暴な話だったわけで、今までは「嘆願」という裏ワザを使わざるをえませんでした。結論だけ書きますけど、こんな場合には、税務署に「更正の申出書」を提出することで、国は税の減額に応じてくれることになりました。これにより法定申告期限から1年超3年以内の場合は、とりあえず対処可能となります。3年超の場合は「嘆願」をします。ただし、5年超の場合はお手上げです。まとめると以下の表のようになります。
個人の所得税を納めすぎた場合の手続
法定申告期限から | |||
1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | |
〜平成22年分 | 旧「更正の請求」 | 更正の申出 | 嘆願 |
平成23年分〜 | 新「更正の請求」 |
ここで注意していただきたいのは、株式等の配当所得の申告・譲渡所得の申告についてです。配当所得については、総合課税、分離課税の選択、特定口座にかかる株式の譲渡所得については、申告、申告不要の選択があるのはご存じの方も多いと思います。これらの選択により税金の計算上は有利不利が発生するのですが、これらを「更正の請求」の際に選択し直すことはできません。