2011.8.26
一口馬主(競走馬ファンド)は、愛馬会法人とクラブ法人の2つの法人を介在させるスキームです。このスキームは、一口馬主が匿名組合契約にもとづいて出資を行い、出資した競走馬の稼いだ賞金を受け取るという仕組みです。
(匿名組合契約の出資金は、元本の保証がありません。したがって、損を覚悟して出資しなければなりません。)
一口馬主は愛馬会法人と匿名組合契約を締結し、愛馬会法人はクラブ法人と匿名組合契約を締結します。専門的にはダブルSPC方式といって、愛馬会法人が親ファンド、クラブ法人が子ファンドにあたります。
競走馬ファンドでは、競走馬の稼いだ賞金(約8%の源泉税控除後の金額)は、まずクラブ法人が受け取り、匿名組合契約によって愛馬会法人がクラブ法人から分配金(賞金に相当)を受け取ります。愛馬会法人は、匿名組合契約によって一口馬主(出資者)に分配金(賞金に相当)を分配します。匿名組合契約は、分配金の支払いの際20%の源泉税の徴収が行われます。するとこのスキームは、2度にわたり20%の源泉徴収が行われることになります。そうすると出資者の受け取る分配額が少なくなってしまうようですが、ファンドが立て替えていたり、ファンドが源泉税を還付してもらった都度、出資者に分配していたりしますので案ずる必要はありません。
問題は、ファンド側の源泉税に関する事務負担が重いことです。最大手の社台グループは、匿名組合方式でなく任意組合方式への変更を望んでいたようですが、JRAとの協議は上手くいきませんでした。
それでは、もし、任意組合方式に変わったら、どうなるのでしょうか?任意組合からの分配金は、通常の国内の出資者であれば源泉徴収されません。この場合、競走馬の賞金からの源泉税控除分(約8%)しか課税が終了していないことになります。一口馬主が受ける分配金は雑所得に該当します。雑所得は、他の所得とあわせて総合課税しますので、税率(国税)が5〜40%であることを考えると、多くの出資者の納税が過不足になり確定申告することになります。
また、任意組合方式によれば、競走馬の稼いだ賞金にかかる消費税についても考慮しなければならない場合もあります。