2011.8.3
安愚楽牧場が事実上倒産となりました。この牧場の和牛預託商法は、破綻する同業者を横目に長らく実績を積み重ねてきましたが、ついに終焉を迎えました。
和牛預託商法は、和牛のオーナーという触れ込みですが、経済的実態は金銭消費貸借契約に類似しているといえます。本質が和牛オーナーであれば、牛の飼育等にかかる追加費用の全てを負担しなければなりませんが、定められた金額のみ出資するだけですし、一例ではオーナーの100万円の出資に対して3万円を配当すると確約しています。これは、牧場側からすると100万円借りて年利3%で利息を払うと約束しているのと同じです。つまり、友人にお金を貸して返ってこない。借用書はある。そんな状態です。 この友人からの利子の受取りは、利子所得ではなく雑所得となります。
同様に安愚楽牧場からの分配金は、雑所得ですし総合課税されます。出資金の返還は望めないですが、その出資金の損失について気になるところです。
結論から言うと、確定申告において、本年安愚楽から受け取った分配金とその出資金の損失は確定申告の計算では出番無しなのです。上の例で確定申告の計算をしますと、3万円の分配収益の元となる出資金の損失100万円は、その年分の3万円を限度として必要経費に算入できます。したがって、雑所得は収入金額3万円マイナス必要経費3万円で差引ゼロです。差額の97万円について救済措置はありません。
なお、本年のFX利益(総合課税の場合)があるからといって、上記の97万円の損失と相殺はできません。