2011.8.9
通常個人が金銭消費貸借契約から受ける受取利息は、雑所得として総合課税されます。総合課税は地方税込みの最高税率が50%ですから、所得の多い人にとって金銭消費貸借契約は不都合です。そこで代わりに利用されるのが私募債です。私募債による受取利息は、利子所得として源泉分離課税されます。この所得は、地方税込みの税率20%で課税関係が終了し、確定申告の必要はありません。高額所得者は、私募債を利用して手取り額を増加させることも一案です。
小悪党も上の税率の違いに着目します。低税率・高利回りを謳い私募債への投資勧誘を行います。私募債は、同族会社の関係者、または親密な取引先に発行されるのが通常であり、見ず知らずの会社の私募債の販売・勧誘は、詐欺である可能性が高いです。なかには公認会計士が詐欺の片棒を担いでいる場合もあります。
ところで、詐欺による損失については、雑損控除は適用されません。雑損控除は、災害、盗難、横領による損失について適用が認められますが、詐欺による損失は詐欺にあう側にも責任があるので国としては税金をまける気はない・・・ということなのです。
安愚楽牧場の出資金の損失についても雑損控除の適用はありません。牧場側はビジネスの崩壊を東京電力を発端とする災害が原因であると主張しているようですが、投資家の出資金の損失をこの度の災害と結びつけて雑損控除を適用するのは無理があります。
2014
ご注意:文中の「私募債を利用して手取り額を増加」は源泉分離課税を利用した節税策になりますが、平成28年1月1日以後受け取る私募債の利子分については、総合課税が適用され節税効果は失われます。